フィナステリドは副作用で肝臓にも影響出ますか?
こんな疑問にお答えします。
フィナステリドの添付文書には、副作用の欄に「肝機能障害」と書かれていますが、頻度不明となっており、実際にはどれぐらいの確率でどういう副作用が出るのかは示されていません。
「フィナステリドで副作用が出る人は1%程度でほぼいないから心配しなくていい」と言われますが、本当にそうでしょうか?
今回は、フィナステリドを服用して血液検査で肝臓の数値が基準値を超えていた筆者の体験談をお伝えします。
- AGA治療歴5年
- フィナステリド+塗りミノを使用中
- 4つのAGAクリニック経験あり
フィナステリドの副作用で肝臓の数値が基準値を超えた
フィナステリドを4年以上飲み続けていて、はじめて肝臓の数値が基準値を超えていました。
フィナステリドによって肝機能障害のリスクがあるかは、血液検査で肝臓の数値を確認することで分かります。
血液検査の結果を確認したところ、AST値が基準値を超え、ALT値も基準範囲の上限まで上がっていました。
「ALTの方が高い=肝障害のリスクが高い」とのことなので、これ以上ALT値が上がるのはやばいと思いました。
心筋や骨格筋、赤血球中などにも多く含まれているASTと比べて、ALTは主に肝臓中に存在しているため、肝細胞の障害の程度を調べるのに適しています。健康な人ではALTよりASTが高値を示しますが、肝障害の場合、ALTの方が高くなります。
引用元:肝炎net「AST、ALT、γ-GTP」
ちなみに筆者はAGAクリニックで血液検査を受けたわけでなく、かかりつけの精神科クリニックで数ヶ月に1回血液検査を受けるように言われていて、そこで受けてわかりました。
3年前に会社の健康診断で血液検査を受けたときは、このときはまだ正常の範囲内でした。
フィナステリドを飲み続けていると肝臓の数値が上昇している可能性があるので、定期的に血液検査で数値を確認しておくのが大事です。
フィナステリドを海外製から国内製に切り替えたら数値が下がった
肝臓の数値が基準値を超えたときは、AGAクリニックで処方された海外製のフィナステリドを使っていました。
海外製のフィナステリドを使っていた理由は、国内製のフィナステリドよりも価格が安かったからです。
当時利用していたのは、有名人が広告に出ている大手AGAクリニックでした。
「全国に10院ほどあって100万人以上の診療実績がある」とのことだったので、
「大手でこれだけたくさんの人が使っているんだから海外製でも大丈夫だろう」と思って使っていました。
しかし、実際に血液検査で肝臓の数値が基準値を超えていたので、フィナステリドで肝臓に負担がかかっていないか心配になり、国内製のフィナステリドに切り替えて様子を見ることにしました。
国内製のフィナステリドに切り替えて3ヶ月後に血液検査を受けたところ、肝臓の数値が基準範囲内に下がっていました。
- AST値 37→22
- ALT値 38→17
思った以上に下がったのでビックリしました。
フィナステリド以外の薬も肝臓で代謝されるので、必ずしもフィナステリドを海外製から国内製に切り替えたから数値が下がったとは言い切れません。
しかし、この3ヶ月で生活環境が変わったとかストレスが減ったとかでもなく、他に思い当たる要因がないので、これがいちばん大きい要因ではないかと思っています。
海外製のフィナステリドで肝機能障害が生じた事例が報告されている
実は、AGAクリニックの海外製フィナステリドを服用して肝機能障害が生じた事例が報告されています。
医師が処方した海外製のフィナステリドで肝機能障害が生じた事例
この事例では、40代の男性が1日あたりフィナステリド1mgとミノキシジル5mgを服用して、血液検査で肝臓の数値(AST値、ALT値、γGTP値)が高かったので服用中止して転院しています。
医療機関において医師が個人輸入した国内未承認のいわゆる発毛薬を、医師の指示の下で約3週間服用した40歳代の男性において、肝機能障害が生じた事例が報告されました。
当該製品は、医師が適切な手続きを経て、個人輸入したものであり、ミノキシジル2.5mgを含有する錠剤、フィナステリド1mgを含有する錠剤、ビタミン類等を含有する錠剤の3種類の錠剤で構成されています。上記男性は、1日当たりミノキシジル2.5mgを含有する錠剤を2錠、フィナステリド1mgを含有する錠剤を1錠服用していました。
平成30年7月に、国内の40歳代の男性1名が医療機関で診察を受け、医師の指示の下で上記製品を服用したところ、血液検査において肝機能障害を示す数値(AST、ALT及びγGTP)が高値であったことから、上記製品を処方した医師から服用中止と別の医療機関での診察の指示を受け、別の医療機関に通院しました。
引用元:厚生労働省「国内未承認のいわゆる発毛薬の服用が原因と考えられる健康被害の発生について」
この事例で注目すべき点は、フィナステリドが医師が個人輸入した海外製であるところです。
この事例を知って、それまで「海外製でも医師が処方したものなら安全」だと思っていましたが、
「海外製は医師が処方したものであっても安全であるとは限らない」と学びました。
もう1つ、ネットで購入した海外製のフィナステリドを服用して肝機能障害が生じた事例を紹介します。
ネットで購入した海外製のフィナステリドで肝機能障害が生じた事例
この事例では、50代の男性が1日あたりフィナステリド1mgとミノキシジル5mgを2ヶ月服用して、
服用中止1ヶ月半後に倦怠感、胸焼け、濃い色の尿が出て、服用中止2ヶ月後に医師から肝機能異常が指摘されて入院もしています。
報告年度:令和3年度
No.2
引用元:厚生労働省「インターネット等で購入した未承認医薬品等・健康食品の健康被害情報」
製品名:ミノキシジル2.5mg、フィナステリド1.0mg
健康被害報告の概要
・50代男性が、ネット経由で入手した未承認医薬品ミノキシジル2.5mg錠(2錠/日)、フィナステリド1mg錠(1錠/日)を約2か月服用した。
・服用終了約1.5か月後に全身倦怠感、胸焼けが出現し、濃い色の尿が出現。服用終了約2か月後に近医を受診し、肝機能異常が指摘。近医受診翌日に救急外来紹介受診し、黄疸、肝細胞型肝障害を指摘し、近医受診3日後に入院。保存的に観察加療を行い、軽快したため、入院16日目に退院。
先ほどの事例は2018年と少し古かったですが、こちらの事例は2021年なのでごく最近です。
この事例で注目すべき点は、
- フィナステリド服用中止して1ヶ月以上過ぎてから肝機能異常が出ている
- 入院するほどの重篤な副作用が出ている
ところです。
てっきり「副作用が出たらフィナステリドをやめれば安心」と思っていたのですが、どうやらそういうわけではないようです。
フィナステリドをやめても1〜2ヶ月後に肝機能異常などの副作用が遅れて出てくる可能性もあります。
フィナステリドの副作用は、「1%程度でほとんどない」「出てもとても軽いので心配しなくていい」と軽視されがちですが、このようにまれに重篤な副作用が出る可能性もあるので、安易にネットで海外製を購入して使うのはおすすめしません。
なお、プロペシアは我が国でも承認されており、医師の処方せんが必要な医薬品になっております。安易な個人輸入は行わず、必ず医療機関を受診し、医師の処方により正しく服用するようにしてください。
引用元:厚生労働省「プロペシアに関する注意喚起について」
フィナステリドによる肝機能障害(肝臓の数値上昇)を避けるには?
フィナステリドによる重篤な肝機能障害を避けるためには、以下の2点が重要です。
- 定期的に血液検査で肝臓の数値を確認する
- 国内製の正規品ジェネリックを使う
定期的に血液検査で肝臓の数値を確認する
重篤な副作用に発展する前に、早い段階で気づくことが大切です。
肝臓の数値が高値になると、以下のようなさまざまな病気リスクが高くなります。
項目 | 基準値 | 疑われる病気 |
---|---|---|
AST | 7~38 | 高値:急性肝炎、劇症肝炎、慢性肝炎、アルコール性肝炎、脂肪肝、肝硬変、肝がんなど |
ALT | 4~44 | |
γ-GTP | 男性:80以下 女性:30以下 | 高値:急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、肝がん、アルコール性肝障害、非アルコール性脂肪性肝炎、薬剤性肝障害、胆道系疾患など |
※基準値は検査機関によって異なることがあります。
血液検査はAGAクリニックで受ける必要はありません。
AGAクリニックに通院している人はともかく、オンライン診療を利用している人が自分で行うのは大変です。
わたしは血液検査キットを使ったことがありますが、思ったより痛いし全然血が取れなくて苦労したのでおすすめしません。
血液検査なら、近所の内科やかかりつけのクリニックで受けられます。
わたしはかかりつけの精神科クリニックで血液検査を受けました。
国内製の正規品ジェネリックを使う
たとえ医師から処方されたものであっても、海外製のフィナステリドは品質や安全性が担保されておらず、肝機能障害が生じる可能性があります。
海外製のフィナステリドは未承認薬のため、医薬品副作用被害救済制度の対象外です。
医薬品は正しく使っていても、副作用の発生を防げない場合があります。そこで、医薬品を適正に使用したにもかかわらず、その副作用により入院治療が必要になるほど重篤な健康被害が生じた場合に、医療費や年金などの給付を行う公的な制度です。
引用元:医薬品副作用被害救済制度とは何ですか?
医薬品副作用被害救済制度は厚労省が承認した薬でなければ適用されないため、先ほど紹介した事例のように、海外製のフィナステリドで肝機能障害が生じて入院が必要になったとしても、かかった医療費は全額自己負担になります。
国内製の正規品ジェネリックであれば、救済制度の対象なので、医療費の給付が行われる可能性があります。
以前は国内製を使ったほうがいいとわかっていても、費用的な続けやすさから海外製を使うしかありませんでした。
しかし、いまは国内製フィナステリドでかかる費用は、1ヶ月あたり4,130円です。(送料込み)
筆者の場合、1ヶ月使って副作用が問題なかったので、2ヶ月目から定期配送に切り替えて3,750円になりました。
2回診察を受けましたが、副作用や費用の質問にも具体的に答えてくれて安心できました。
『クーポンまたは紹介者』のところに『4010』と記入すれば、国内正規品フィナステリド1ヶ月分が3,780円→3,400円で始められます。
安全性と費用面を両立するなら、東京オンラインクリニックのフィナステリドから始めるのがおすすめです。
実際にオンライン診療を受けた体験談はこちらの記事でくわしく解説しています。
まとめ:海外製のフィナステリドは肝臓の数値が上がる可能性があるので要注意
今回は、フィナステリドを服用して肝臓の数値が上昇した筆者の体験談をお伝えしました。
フィナステリドの添付文書を見ると、重大な副作用の欄に「肝機能障害」と書いてあるものの「頻度不明」となっており、実際どれくらいの人が生じるのかはわかりません。
しかし、実際にフィナステリドを服用して入院するほど重篤な副作用が出た人もいます。そして紹介した2例に共通するのは海外製を使っていたという点です。
フィナステリドによる肝機能障害を避けるには、国内製の正規品を使うことでリスクを避けられます。
フィナステリドの副作用については以下の記事でも解説していますので、よかったら参考にしてください。