フィナステリドはやばいと聞くのですが、飲まないほうがいいのでしょうか?
こんなお悩みにお答えします。
筆者はミノタブとフィナステリドの併用で薄毛を改善し、その後3年以上塗りミノとフィナステリドで維持しています。
- 「フィナステリドによる副作用や健康被害が心配・・・」
- 「フィナステリドは危なくないのだろうか?」
フィナステリドは男性型脱毛症への有効性が認められ、日本皮膚科学会のAGA診療ガイドラインにおいて強く推奨されています。
しかし、なかには「フィナステリドを飲み始めて勃起しづらくなった」などの報告もあり、フィナステリドによる副作用や健康被害を心配する方も多いかと思います。
そこで、今回はフィナステリドの副作用が心配な方に向けて、「フィナステリドがやばいと言われる3つの理由と対処法」について詳しく解説します。
フィナステリドを使っていいのか心配な方の参考になれば幸いです。
- AGA治療歴5年
- 海外製フィナステリドで肝臓の数値が上昇
- 4つのAGAクリニック経験あり
フィナステリドがやばいと懸念される3つの理由
フィナステリドの使用で懸念される理由は、以下の3つです。
- 男性機能の低下
性欲が落ちて勃起や射精しなくなるのではないか - 抑うつ
うつ病が発症するのではないか - 肝機能障害
肝臓の数値が上がるのではないか
男性機能の低下
フィナステリドの副作用のうち最も生じる可能性が高いのは、「男性機能の低下」です。
日本皮膚科学会のAGA診療ガイドラインによれば、「フィナステリドを飲むと性機能障害のリスクが上がる傾向がある」と書かれています。
性機能障害については相対危険度が1.39(95% CI,0.99~1.95)とフィナステリド投与群がプラセボ群より上昇する傾向があるとしている
引用元:日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」
もとの研究報告を確認してみると、たしかに「フィナステリドは髪の毛を増やす一方で、性機能障害のリスクを高める」と報告されています。
Conclusion: Moderate-quality evidence suggests that daily use of oral finasteride increases hair count and improves patient and investigator assessment of hair appearance, while increasing the risk of sexual dysfunction.
結論:中程度の質のエビデンスは、経口フィナステリドの毎日の使用が毛髪の数を増やし、患者と研究者による毛髪の外観の評価を改善する一方で、性機能障害のリスクを高めることを示唆しています.
引用元:Efficacy and safety of finasteride therapy for androgenetic alopecia(2010)
では、「性機能障害(男性機能の低下)」とは具体的にどのような症状なのでしょうか?それはどの程度の危険性があるのでしょうか?
性機能障害の具体的な症状は、勃起不全、射精不全、性欲減退です。
ただ、程度としてはごく軽度で、中止するほどではないとされています。
勃起不全は最も一般的な副作用であり、射精機能不全と性欲減退が続きます。これらの影響は治療の初期に発生し、薬を中止するか、一定期間薬を使用し続けると正常に戻りました。
性的機能に対するフィナステリドの影響はほとんどの男性にとって最小限であり、フィナステリドの処方または服用の決定に影響を与えるべきではないと結論付けています。
引用元:Guidelines on the use of finasteride in androgenetic alopecia(2016)
フィナステリドの添付文書では、フィナステリドで「男性機能の低下」が生じる確率は1〜5%未満とかなり低いです。
症例データを公表しているAGAクリニックのデータでは、副作用が生じたのは801例のうち23例(2.5%)で添付文書の数値と合致しています。
有害事象は23例(2.5%)で、その内訳は性欲低下が4例、体毛の減少が4例、頭皮の異常が3例、血性精液が2例、肝機能障害2例、精液減少・勃起時違和感・女性化乳房・前額部発毛・初期脱毛・蕁麻疹・眠気・尿量増加が各1例であった。
引用元:男性型脱毛症の内科的治療(2015)
抑うつ
フィナステリドの添付文書を見てみると、副作用に「抑うつ症状」も含まれています。
フィナステリドを飲み始めてうつ病が発症した事例は決して多くはありませんが、いくつか報告されています。
参加者は、治療を開始する前、および治療の2 か月後にBDIおよびHADSアンケートに回答しました。フィナステリド治療は、BDI (p < 0.001) と HADSうつ病スコアの両方を有意に増加させました (p = 0.005)。
引用元:Finasteride induced depression: a prospective study(2006)
社会家族関係、睡眠、食事行動を著しく損なううつ病は、場合によっては顕著な不安と関連しており、フィナステリドでの治療の9〜19週間後に発症し、薬物の中止後すぐに解消されました.
引用元:Depression circumstantially related to the administration of finasteride for androgenetic alopecia(2002)
しかし、これらの「フィナステリド治療によってうつ病の発症リスクが上がった」という報告には疑わしい点もあります。
うつ病の発症要因にはフィナステリドや男性型脱毛症以外にも様々な要因が考えられるため、一概にフィナステリドだけが原因とは言えません。
また、フィナステリド治療後にうつ病を発症したという根拠としてBDI(ベック抑うつ尺度)が用いられていますが、
これは簡易なアンケート式検査であり、このスコアだけでうつ病と言えるのかも疑問です。
東京メモリアルクリニックの佐藤明男先生も、フィナステリドは脳組織への輸送が制限されているため、うつ病の副作用は考えにくいと述べています。
フィナステリドは脳血流関門を通過できないとされており、中枢神経系に作用し、勃起障害(ED)やうつ病などの副作用をきたすことも考えにくい。
引用元:男性型脱毛症の内科的治療(2015)
肝機能障害
フィナステリドは肝臓で代謝されるため、まれに肝臓の数値が上がる可能性があります。
厚労省の報告では、医師が個人輸入した海外製のフィナステリドとミノキシジル使用した40代の男性が肝機能障害を発症した事例が報告されています。
医療機関において医師が個人輸入した国内未承認のいわゆる発毛薬を、医師の指示の下で約3週間服用した40歳代の男性において、肝機能障害が生じた事例が報告されました。
引用元:国内未承認のいわゆる発毛薬の服用が原因と考えられる健康被害の発生について(2018)
この男性が服用していたのは、以下3種類の錠剤です。
- フィナステリド1mgを含む錠剤
- ミノキシジル2.5mgを含む錠剤
- ビタミン類等を含む錠剤
血液検査で肝臓の数値が高いことがわかり、別の医療機関で診察を受けて回復しています。
平成30年7月に、国内の40歳代の男性1名が医療機関で診察を受け、医師の指示の下で、上記製品を服用したところ、血液検査において肝機能を示す数値(AST、ALT、及びγGTP)が高値であったことから、上記製品を処方した医師から服用中止と別の医療機関での診察の指示を受け、別の医療機関に通院しました。現在までに、男性は医療機関の診察を受け、軽快しています。
引用元:国内未承認のいわゆる発毛薬の服用が原因と考えられる健康被害の発生について(2018)
肝機能障害はすぐには目に見える症状に現れないため、健康診断で定期的にAST、ALT、γ-GTPの数値が正常であるか確認しておきましょう。
肝機能障害(肝機能異常)とは何らかの原因で肝臓が障害をうけ炎症が起こり、肝細胞が壊されるため、血液検査で肝機能の異常値を示す事をいいます。
肝臓は「沈黙の臓器」と言われており初期では症状がでないことがほとんどです。進行すると、全身倦怠感、食欲低下、嘔気、黄疸、皮膚のかゆみ、からだのむくみ、腹水などが挙げられます。
引用元:のなか内科「肝機能障害」
わたしの場合、AGAクリニックの海外製フィナステリドを使っていた時はAST値が基準範囲を超えていました。
関連記事:【体験談】フィナステリドで肝臓の数値(alt, ast)が基準値を超えた
フィナステリドは妊活中はやめたほうがいい?
妊活中の男性は、フィナステリドの服用を控えた方がいいです。
その理由は、「妊娠中の女性の体内に吸収された場合、男の子の赤ちゃんの生殖器に異常が生じるおそれがある」ためです。
男の子を妊娠している女性の体内にプロペシアの有効成分が入ると、それが口から入った場合であっても、皮膚に付着して吸収された場合であっても、男の子の生殖器に異常を起こすおそれがあります。妊娠中の女性がプロペシアの有効成分に触れてしまった時には、医師に相談して下さい。
引用元:厚生労働省「プロペシアに関する注意喚起について」
厚労省も注意を呼びかけていますし、万が一のことがあってはこわいので、やめておいたほうが賢明です。
関連記事:フィナステリドは妊活中に服用してはいけない理由は子どもへの悪影響
妊活中の薄毛対策はどうすればいい?
妊活中でフィナステリドが使用できない方は塗りミノで対処しましょう。
塗りミノとは、頭皮に塗るタイプのミノキシジルのことです。錠剤タイプのミノキシジル(ミノタブ)よりも副作用が少ないのがメリットです。
塗りミノは日本皮膚科学会のAGAガイドラインで強く推奨されており、フィナステリドのように赤ちゃんへの影響を心配する必要がありません。
CQ3:ミノキシジル外用は有用か?
推奨度:A
引用元:日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」
推奨文:ミノキシジル外用を行うよう強く勧める(男性型脱毛症:5%ミノキシジル,女性型脱毛症:1%ミノキシジル).
筆者はミノタブをやめて生え際が薄毛に戻りましたが、その後3年以上塗りミノとフィナステリドで維持しています。
妊活中や生え際の薄毛対策は塗りミノで対処しましょう。
まとめ:妊活中と海外製は健康被害のリスクがあるので避けるべき
今回は、フィナステリドの副作用が心配な方に向けて、「フィナステリドがやばいと言われる3つの理由」について解説しました。
フィナステリドで男性機能の低下やうつ病スコアが高くなった事例もありますが、その発現率は5%未満とかなり低く、あったとしてもごく軽度なので心配するほどではありません。
しかし、妊活中の使用は子どもに影響が出る可能性があり、海外製は不純物によって健康被害が生じるリスクがあるので避けたほうがいいです。